その家には、絶対に住んではいけない
事故物件 歪んだ家
● STORY
元作家のヒョンミンは、心の病を患う妻ミョンヘを案じ、子供たちを連れて人里離れた一軒家に引っ越す。しかし、次々と不審な出来事が起こり始め、ミョンヘは衰弱していく。一方、ヒョンミンがその家について調べると、過去に起きた惨劇が次々と明らかになる。6年前に建てられたその家では、最初に住んだ一家の父と子供が不審死を遂げていた。その次に住んだ一家は、子供と無理心中をしていた。そんな中、庭の奥にある倉庫に何かの気配を感じたミョンヘは、その中に入っていく。しかし、倉庫から出て来たミョンヘは、それまでの臆病な様子とは違い、異様な自信に満ち溢れていた。そして、派手な化粧を好み、食欲も旺盛になるが―。
アンニョン(^-^)ノ
いつも、ありがとうさんです
『事故物件 歪んだ家』は去年11月にシネマートさんで開催された「のむコレ6」で上映された作品ですが、私は観に行けず…とにかく今年の1月6日にDVDがアルバトロスさんから発売です。
ホラー大好きの私ですので、いつ観ようかと思ってたんですが、今月になってブロともさんのシズさんが観られたので、私も11日に観てみました…
シズさんのご感想です ⇒ 安いのには理由がある。
『歪んだ家』はK-スリラーの代表的な作家であるチョン・ゴヌ(チョン・ゴンウ)氏の同名小説を原作とするミステリー・ホラー。
書籍出版前の「トリートメント段階」で映画化が決定したそうですが、「トリートメント段階」がわからないけど、出版前の校正とか推敲とかだろうか。
チョン・ゴヌ氏はまた、「韓国のスティーヴン・キング」とも称される作家だそうです。
主人公の家族は5人家族。
お父さんのチェ・ヒョンミンは、「元作家」だそうですが、私はセリフから「挿絵作家」だと思ったんだけど ―― ハッキリわかりません。
とにかくヒョンミンは事実はともかく「盗作問題」によって仕事がなくなったようで、お金に困っている状態です。
出版社の社長が特殊な死に方(おそらく自殺)だったとの話も…。
しかし、穏やかな性格の人物で、家族に対しても努めて優しく接しています。
その妻のミョンヘは専業主婦なんだけど、やや精神的に不安定で、人生に疲れているような感じ。
映画の冒頭から無気力です。
子どもたちは長男のドンウ、長女のヒウ、そして次女ジウの三人。
途中でわかることですがヒウは養女です。
彼女がミョンヘのことを「お母さん」と呼ばず、両親に対しても敬語で話すことにミョンヘは苛立っています。
長男のドンウは父親に対して、やや反抗的で、もしかすると「盗作問題」で仕事を失っている父親に対して失望して無視しているのかもしれない。
子どもたち3人の関係は悪くないですね。
ヒウはジウの面倒を見て、一緒に遊んでいます。
そんな中、家族は辺鄙な土地にある一軒家に引っ越します。
その家の値段がかなり安かったからなんですが、家を見るとホント、羨ましいほどの間取りで、かなり広い。
素敵なお庭も広いですなあ。
ただの引越しならええ家に引っ越せて嬉しいもんですが、しかし母親のミョンへの表情は浮かなく、そのせいか、家族もつまらなそう。
ところが引越しのその日から何だか不穏で…倉庫(物置き)の中に誰かいるようだとヒウが気づいてミョンヘに知らせたんですが、物置には鍵がかかっていて入れない。
ヒョンミンは「鍵がかかっていれば幽霊も出られない。下手に開けたら出てくるぞ」と、変に論理的な冗談を言いますが
韓国の人たちって一般的にどんな状況にもちゃんとしたことを言いますよね~。
不可解な雰囲気や変な音ついては、もしかするとミョンヘが少し不安定だからそう感じるのかもと思ったけど、でも、ヒウもありえない人影を見るのですね…。
なぜかよそよそしく、「お母さん」と呼んでくれないヒウに対し、ミョンヘは潜在的に怒りを感じているのか、暴力的なことを想像してしまう…。
ミョンヘはその美しい瞳に惹かれてヒウを自分の娘として育てることを決めたのに、今ではヒウに憎悪を感じてしまう自分の心を読まれるようで、ヒウのその目が怖い。
ミョンヘは幸せだった過去を思い出し、哀しく感じていた。
ある日の昼、ヒウやジウとかくれんぼをしていてジウがいなくなったと狼狽えたミョンヘは、例の倉庫の鍵を何とか開けようとして ―― 越してきた家の前の住人と親しかったという近所の女性(チャ・スニャン)と出会う。
その女性は「この家、少し歪んで建っている気がする。だから風が吹くと…ギシギシ…音がする」と言う。
その時、家の中から叫び声が聞こえ、ヒウが卒倒していた。
ミョンヘはヒウを救急車で病院へ運ぶが、意識を取り戻したヒウは「あの倉庫の扉を開けないでください」と言う。
ここまでで1時間半の映画の最初の三分の一くらいです…
私の感想、いいでしょうか。
まず…あれ~
怖くないぞ~っていう(≧∇≦)
不思議です、韓国のホラー映画を観ていてここまで怖くないとは…な~ぜ~だ~
いや、ホント、不思議なんですけど、実はこの1週間くらい、ホラー映画などの怖い映画を続けて観ていたんですが、総じて怖くなかったんですよね。
自分でも不思議なんですが、心境の変化なのか、あるいは観た映画が偶然にもそれほど怖くない映画ばかりだったのか…わかりませんが、2017年の春に『霊 リョン』(2004年)を観て…その時にはもう失神しそうなほど怖くって、以後、怖い映画をホントに怖がりつつ観ていて、特に心霊系のホラーにはすごく警戒感を感じてたんだけど、『事故物件 歪んだ家』は主観的に、あまり怖くなかったんですね。
そうなると私ももう、自分の怖さ度もええ加減なもんやと思うわけですが…私も贅沢でね…。
「怖くないホラー映画はホラーじゃない」
あつかましく考えてしまいます。
で、この映画の作風ですが、なんか古いぞ~
私ゃ2003年の『アカシヤ』(パク・キヒョン監督)を思い出しましたよ~。
なんか、家とか、家族の話とかが同じだし…あ、でも話は違うんですがね…ズバリ、『アカシヤ』の方が怖かったような…。
そんなわけであまり怖くなかった分、割と冷静に観てたんですが…物語的にテーマをどう捉えていいか、また考えさせられて…でも、私が気に入ったところは非常に納得だったんです。
ただ。不可解なことがいろいろ残りましたね…。
その観たあとも不可解であることがホラー映画としてあとを引く感じで悪くないんですが、一つ、もう一度、最初から観るのも手段かなあ、と思います。
始まった時から一種の伏線が張ってありますのでね。
カン・ドンホン監督のこれまでの経歴…
わかる Don't Stop Quarrelling 2001年 16分 撮影
アフター・セイヴィング After Shaving 2001年 7分 監督
愛の力 The Power Of Love 2003年 8分 撮影
四月の雪 2005年 撮影
グッドナイト Good Night 2009年 12分 監督、脚本
愛の三点シュート Love in Basket 2011年 10分 監督、脚本
祈る男 Pray 2018年 95分 監督、脚本
歪んだ家 2022年 監督、脚本
活動の初期は撮影を担当されていたようです。
『四月の雪』の撮影はイ・モゲさんですが、カン・ドンホンさんも撮影班に参加されていたということだろうか。
とにかく監督としての長編デビュー作は2018年の『祈る男』で、パク・ヒョックォンさんとリュ・ヒョンギョンさんが主演で、だから『歪んだ家』にもヒョックォンさんが出られてるんでしょう。
『祈る男』は信仰にまつわる映画のようですが、パク・ヒョックォンさんの主演作…う~ん、観てみたい
主演はご存知、ソ・ヨンヒですが、韓国では「スリラー・クイーン」の異名もあるようです。
私的には怖い映画だけの人ではないと思いますが、やはり『チェイサー』(2007年)、『ビー・デビル』(2010年)の印象も強いですよね。
私は時代劇ホラーの『ヨコクソン 女哭声』(2018年)を観逃してますので、また観ないとあきませんし、『空気殺人〜TOXIC~』(2022年)も観れてないので観たいですよ~。
ソ・ヨンヒさんの出演作は必ず好きですが、私は『世界で一番美しい別れ』(2011年)のダメ夫と別れられないソンエ役が好きやなー。
ミョンヘ役はソ・ヨンヒさんの演技派ぶりが際立つ壮絶さでしたね。
ヒョンミン役はキム・ミンジェさん。
いっぱい映画にも出られてますけど、私的には『新 感染半島 ファイナル・ステージ』(2020年)の「バックしろって」が大好きです(≧∇≦)
あの映画の「顔芸」も壮絶に素晴らしかったですね。
オモシロ系とイヤなヤツ系も多いけど、この映画では普通~なお父さんでした。
長女ヒウを演じるのはキム・ボミンちゃん、2010年10月1日生まれ…現在小学6年生でしょうか。
巣 The Nest 2017年 20分 ※
ザ・ネゴシエーション 2018年
虐待の証明 2018年
出国 造られた工作員 2018年
君の誕生日 2019年
담쟁이 Take Me Home 2020年
非常宣言 2022年
カーター 2022年
事故物件 歪んだ家 2022年
※ イム・ピルソン監督、チョン・ドヨン主演の短編映画でスリラー作品だそうです…観たい
…ボミンちゃん、ホンマにええ映画に出てきましたよね~。
『君の誕生日』や『非常宣言』でも大きな役でしたし…。
ネットフリックスで公開されてるチュウォンくん主演の『カーター』はいかがですかね。
観られた方によると、かなりアクションの連続でしんどいらしいですが…観たいな~、『カーター』
『歪んだ家』のボミンちゃんも主役級ですし、やはりその演技に魅了されました。
くれぐれもグレたりせず、女優道に邁進してもらいたいものである。
ネタバレ、入ります
…内容に深く触れますが、ヒウを助けようとしてくれるあの、子どもたちの幽霊…可愛かったですネ。
私は『歪んだ家』を観ていて『シャイニング』(1980年)を思い出しました。
私は『シャイニング』の原作を読んでいないし、スティーヴン・キング自身が監修したドラマ版(1997年)も観ていないんですが、『歪んだ家』は「家」が不吉な存在なのではないかというところが『シャイニング』と重なりましたね。
でも、よく考えるとまた違う話だと思うんです。
ミョンヘは引っ越す前から苦しんでいました。
彼女は今の家族の状態が自分の考える理想とは違うと考えていたように思いますし、自分がいい母親ではないのではないかと恐れていた。
結果として、引っ越した家の、あの倉庫の扉を開けて中に入ることで、全く違うペルソナを得て、自分が考えてきた「いい母親」とはまるで違う女性になってしまう。
それはある意味、彼女が生気を取り戻したようにも見えるが、多くの観客は醜悪に感じるでしょう。
映画を観てたら、そうとう異常ですよね。
憑かれたせいです。
家の過去ですが、6年前にパク・サンホ氏が建てたものだったが、直後に除草剤を飲み、1番目の子と3番目の子と共に死亡。
夫人は様子が変で、夫と子どもに保険をかけてた。
関連性は不明だが子どもたちは養子だった。
しかし犯罪の証拠はなく、警察は手を引こうとしたが、その時、2番目の子どもから通報が。
でも家には誰もいなかったとか。
去年のこと、ある夫婦が入居したが、その夫婦は2人の子を道連れに心中した。
その子どもたちも養子だった。
(なんか、幽霊の人数が少なめな気がしてきますが)
最後まで映画を観た上では、どういった人かに関わらず、あの家で暮らした人は、何かに取り憑かれてしまい、おかしくなる…とかしか思えないオチでした。
むしろ、家族の中で最初におかしくなったミョンヘは、娘からの呼び掛けで母親としての意識を取り戻し、真実に思い至るわけですが…オチについてはもう、一番しっかりしていたように思えたキャラクターがああなってしまうので…そうなるとやっぱり家の魔力が強すぎて誰しもが取り憑かれてしまうものなのかと考えるしかないような…。
それにしても人が数口飲めば即、死んでしまうような除草剤を発売しないでほしいものです、ホント
あと、ミョンヘが食卓に用意してヒョンミンとヒウが引きまくる、あのお料理って何なん
「生」っぽかったですけど
パク・ヒョックォンさん演じる「キム・グジュ」の存在はホントに謎で、私はあとで考えて「霊媒師」のように思わせといて、実は「ヒョンミンやミョンヘが虐待に及ばないかどうか密かに監視している行政か警察の方」かと想像したんですが、やっぱり霊媒師や退魔師かもしれません…。
いや、だったらなんで出てきたのかっていう…謎です。
そして長男ドンウの存在感のなさは何なんだっていう
私ゃもう、最後の方では彼も幽霊なのかと思っちゃいました
けど違うようですね。
この映画が家族の映画だとすれば、ドンウのような思春期の少年は家族の外に向けて出ていこうしている「部外者」的な存在って意味なのかと考えたけど…それもね~
結局、思ったのはチョン・ゴヌ氏の原作を映画化したけど、そのまま映画化して説明的な部分を語りきれなかったのか、あるいは原作を端折りすぎたのか、映画化の脚本は何らかのトラブルを抱えてる印象です。
うわ~、酷いこと言ってるな~(>_<)
でも、ホント、ちょっとわからなかったんだもの。
一番は、家族のため、家族のことばかり考えて疲れて憑かれておかしくなってしまうお母さんの話じゃないでしょうか。
でも、そうすると、ヒウや、これまでに犠牲になった子どもたちが養子である設定の意味は何なのだろうと考えます。
これについては映画の感想だからといっていい加減なことは書けないけど、家族として迎え入れた養子との関係で、韓国で何か、取り沙汰にされるような案件があったのだろうか。
もちろん、迎えた養子に保険をかけて殺める事件など、どの国であっても、あってはならないことですが、せっかく家族として幸せになってもらおうとしたのに関係が難しくなったりしてしまう悩みがあるのなら、それもまた、国によらずありうるでしょう。
もう少し、その設定の意味がわかれば良かったんですが、ドラマ面で最後の山場に作用していたことだけ、私にはわかりました。
ほぼ怖くなかったし、そこまで面白くもなかったんですが、でも私、この映画、好きです。
作品が与えてくれるエモーションが確かに私好みでした。
シズさんもそこを書いてくれていましたが、母と娘の関係は心を打つものでした。
ホラーでもそういったドラマがあると、いい映画になるものですが、この映画、もう少し話をわかりやすくしてくれてたら、例えば種明かしでももっとハッと膝を打つようなことになったと思うんですけどね~、惜しいわ~、惜しいわ~。
でも、こういうホラー、イイです。
今回、自分があんまり怖がらなかったのもなかなかでした。
またホラー、観たいっす
で、最近観た「怖い映画」もまたちょっと書きたいので、よろしくですね
今日もおおきに、ありがとうさんでした…
アンニョン(^.^/)))
事故物件 歪んだ家
原題:뒤틀린 집 歪んだ家
英語題:Contorted
中国語題:邪門 扭曲的家
2022年製作/91分/韓国
韓国封切:2022年7月13日
日本公開:2022年11月11日
配給:「事故物件 歪んだ家」上映委員会
「のむコレ6」(2022年11月11日~/東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋)上映作品
原作:チョン・ゴヌの小説「歪んだ家」/安全家屋
PD:キム・エラ
脚本:キム・ジェファン
監督・脚本:カン・ドンホン [第2作]
助監督:チャン・スンファ
撮影:チャン・ウヨン
照明:キム・テフン
編集:アン・グァンソプ (Post story)
音楽:ユンサン (casker)、イ・ジュノ (casker)
美術:ホ・ジェヒョン (theo_x)
武術:キム・サンフン (Punchline)
出演
ソ・ヨンヒ → ミョンヘ 母
キム・ミンジェ → チェ・ヒョンミン 父
キム・ボミン → チェ・ヒウ 長女
チョ・スヒャン → イ・ウニョン 隣家の女
パク・ヒョックォン → キム・グジュ
オ・ジャフン → チェ・ドンウ 長男
ノ・ハヨン → チェ・ジウ 次女 / 幼いチェ・ヒウ
キョン・ダウン → オ・スヨン
キム・ナウン → オ・ハヨン
カン・ギルウ → カン・ヨンギュ 記者
パク・オクチュル → 不動産 社長 ヘンボク(幸福)不動産
イ・ドア → イ代表 出版社
チョン・グヒョン → 修道女
ソ・ミンソン → チャン代表
ユンサン → ウイルス映像解説者
チャン・ジウォン → ウニョンの夫 [ラインプロデューサー]
キム・ソニョン → 出版社 職員1
イ・ユジョン → 出版社 職員2
キム・エラ → 出版社 職員3
チェ・ジュンシク → 出版社 職員4
※ 輝国山人の韓国映画様から転載させていただいてます。