アンニョン(^-^)ノ
いつもありがとうさんです
4月24日、この作品を観ました・・・
マドンナ
2014年に撮影され、2015年の第68回カンヌ国際映画祭で初上映された作品だそうです。
是枝裕和監督の『海街diary』(2015年)が出品された年のカンヌ国際映画祭なんですね。
で、その作品がなぜか2022年の今年2月、日本では劇場未公開のままDVDがリリースされたんですね。
私もこの作品に気づいて、ソ・ヨンヒ主演だったので注目したんですが、詳しいことは観るまでわかりませんでした。
最初に結論を書いてしまいますが、暗く、重く、悲しく、憤りを感じつつ、同時にこの世の残酷と不条理に虚しさを強くするしかなかった、そんな作品です。
しかしまた、観て良かったと強く思わせる映画で、内容的にはそうとうきついんですが、多くの方々に観てもらいたい作品でした。
詳しくは書きませんが、最初のところだけ書かせてもらいますね。
私は何も知らずに観て、最初からいきなり衝撃を受けたので、ホントはこれから観る方々にもそうして観てほしいんです。
この映画は物語の実像が浮かび上がっていく時の驚きも非常に重要だと思うんですね。
ですので、ここまで読んで観ていただければ…。
経済的に苦しい境遇にあるムン・ヘリムはある病院で働き始めることになる。
ヘリムの病院での立場ですが、看護補助師 ―― 日本語での准看護師でしょうか。
彼女は病院のVIP病棟を担当するのですが、すでにヒエラルキーが存在するイメージで、看護師にこき使われているとこぼす人もいる。
しかしヘリムはおそらく後もないし、心を無にしてただただ働いている感じ。
ヘリムが働き始めると、病院の雰囲気もおかしいように感じられていくのですが、そこである真実が明かされていきます。
成功して財産を築いたけれど、全身麻痺に陥っている高齢の患者 ―― 生きながらえるため彼には心臓移植が必要だった。
この患者が幾度か臓器移植を受けてきたのは明白だった。
彼の息子であるサンウは病室で看護師の女性コ・ヒョンジュに金を支払い体の関係を得ているようだった。
それはいかにも異様なことだが、サンウはそういったことをしても構わないと考えているようだった。
そして、病院に脳死状態にある身元不明の女性チャン・ミナが運び込まれてくる。
意識のない彼女は妊娠していた。
彼女はサンウの父親に心臓を提供するために入院させられたのだ。
この「お金持ちの患者のためにお金で臓器移植をしている病院」は、昔から確かに私も想像はしていましたが、映画で見ると異常にショックでした。
恐ろしい犯罪でもあるんでしょうけれど、それよりももっと根本的にあってはならないようなことだと感じられます。
映画を観て、それをどのくらい信じていいのかはわかりませんが、映画を観ている間は私、このことは実際に韓国であったことなのだろうかと考えていました。
『復讐者に憐れみを』(2002年)、『アジョシ』(2010年)、『共謀者』(2015年)、『コインロッカーの女』(2015年)…違法な臓器売買を描いた韓国映画があります。
『マドンナ』も含めて、それらには確かに映画らしい「都市伝説的な胡散くささ」も感じましたが、『マドンナ』は中でもかなり現実的に思えました。
映画の中のような事件が現実に発覚して、報道されたようなことがあったのだろうか。
私には思い浮かばないのですが、韓国に限らずいかにもありそうな気がしてなりません。
サンウには違法に心臓移植してでも父に生きながらえてもらわねばならない理由がありました。
そうでないと父の財産を自由に使えないからです。
病院の方もサンウからのお金を強くアテにしている。
サンウはヘリムに目を付け、彼女にチャン・ミナの身元を調べ、ミナの近親者の臓器寄贈同意書を手に入れてくるように依頼する。
ヘリムはそれに応じ、チャン・ミナの家族を探す。
そしてヘリムは過去にチャン・ミナと付き合いのあった人たちに会って話しを聞きつつ、チャン・ミナの過去を辿ることになる。
なぜ、彼女は瀕死の怪我を負い、妊娠したまま脳死状態となって臓器を買われる身となったのか ―― 。
ミナのあだ名は「マドンナ」といった。
観ていて辛い場面が連続します。
お金を持ち、お金に固執する人の命令で豊かではないヒロインがある女性の半生を追う中で、人々が目を背けている社会の実態を観客たちは目にすることになる。
ムン・へリム、チャン・ミナ、そしてサンウ。
三人の人物が対比されていきます。
チャン・ミナの過酷な半生、彼女のお腹の子の父親が判明していく中、ヘリムの秘密も明らかになり、サンウの心境にも触れることになりますね。
そういった後半に行くにつれ、登場人物の関係にテーマが集中していく物語が圧倒的に優れていると思いました。
非常に苦しい映画ですが、しかし結果として何か光のようなものを感じます。
優しさをまだ信じたくなるといいますか…そこに少し、ホッとして素直に感動しました。
観ている間は苦しかったけど、私はこの映画がまた、私が気づいていなかったことを気づかせてくれ、新しい視点を教えてもらったように思えて、観てホントに良かったと思いました。
主人公のムン・ヘリムを演じるのはソ・ヨンヒ。
『チェイサー』(2007年)といい、『ビー・デビル』(2010年)といい、この人の出る映画はズド~ンと重い映画があるけど、『マドンナ』での役作りがまたぜんぜん違うんですよね。
感情を表に出さない役で…。
もちろん明るく楽しい役だって演じてきたソ・ヨンヒですが、この『マドンナ』での演技を見てて、やっぱり素晴らしい女優さんだと再確認しましたよ…。
チャン・ミナを演じるのはクォン・ソヒョン。
また凄い女優さんがいたと思いましたけど、役作りで体重を増やしたり、ミナ役は普段とぜんぜん違うんですよね…。
実は『マドンナ』を観たあとで偶然、『暗数殺人』(2018年)を観てたんですけど、そうですか…あの被害者のホステスさん役でしたか…。
『マドンナ』1作でクォン・ソヒョンが優れた女優さんであることは誰もが痛感できると思いますが、第35回韓国映画評論家協会賞・最優秀新人女優を受賞したそうで、それも当然だと思います。
またこれからの作品が楽しみです。
サンウを演じるのはキム・ヨンミン…。
映画を観てる時には気づかなかったけど、『チャンシルさんには福が多いね』のレスリー・チャンでしたか(^_^;)
いや、むしろ、『愛の不時着』(2019~20年)のチョン・マンボク=耳野郎で有名ですよね。
でも『マドンナ』は『愛の不時着』のファンの方々は観ない方がいいような気がしてならない
新人医師のイム・ヒョッキュを演じるのはピョン・ヨハン。
この映画の中でも美青年だな~、と思うんですがサンウのとんでもなく酷いアルハラで死にそうになるのだった
他、ムン・ヘリムが一緒に働く看護師コ・ヒョンジュを演じるのは個性派、且つ、演技派なコ・ソヒさん。
先日、書かせてもらった『ビースト』(2019年)でマダムを演じてはったキム・ホジュンさんもまた印象的な役で出てはりました。
渡る世間に鬼は、と言いますが、苦境にある人を手を差し伸べる人もいることが、希望ですし、それもまた社会の実態かな。
シン・スウォン監督はカンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭などの映画祭に招待され、多くの賞も受賞もしている実力派監督だそうですが、私は初めて作品を観ました。
Home Sweet Home 2003年 短編映画 脚本
Shave 2003年 短編映画 監督 脚本
レインボー 2009年 監督 脚本 プロデューサー/制作 音楽総括/音楽
今私は勇敢になるのだ 2010年 オムニバス映画 監督
Women with a Camera 2011年 短編映画 監督
青い塩 2011年 脚色
家族シネマ 2012年 監督
Circle line 2012年 短編映画(『家族シネマ』のうちの1話) 監督 脚本
冥王星 2014年 監督 脚本
マドンナ 2014年 監督 脚本
ガラスの庭園 2017年 監督 脚本
Mulbineul 2019年 中編映画 監督
Light for the Youth 2019年 監督
Dancing with Wind 2020年 短編映画 監督
オマージュ Hommage 2022年 監督 脚本
最新作、『オマージュ』は第34回東京国際映画で上映されたそうです。
主演はイ・ジョンウンさん、クォン・ヘヒョさんですね。
そしてムン・グニョン主演の『ガラスの庭園』もシネマートさんで今年3月に上映されて、「おうちでシネマート」のラインナップにも入ってますね。
もしかしたら他の作品もどこかで観れるのかもしれない
追記: 専門家筋の方から教えていただいたのですが、日本で初めてシン・スウォン監督の作品が紹介されたのは、2009年の『レインボー』が『虹』のタイトルで第23回東京国際映画祭(2010年)で上映された時だそうです。
10年以上前
kazumi様、いつもおそれいります☆⌒(*^-゜)v
『マドンナ』1作を観ただけですが確かに、監督の作品はヨーロッパの映画祭で高い評価を得そうな作品だし、ヨーロッパの観客の人たちに好まれそうな作品だと思いました。
けど「芸術的に難解」といった感じではなく、社会における誰しもが身につまされる問題について考える作品…社会派って感じで、『マドンナ』で描かれる様々なことは、どの国でも切実なことではないですか。
少なくとも日本人の私が観て、全て、日本でのありように当てはまるものだと思いました。
それにしても韓国映画はなぜ、こういったシリアスな社会派の映画をこうまで痛切に胸に迫る映画にしていくのか…そこがやっぱり私、凄いと思わずにはいられません。
シン・スウォン監督の他の映画は、また『マドンナ』とは違う種類の映画らしいです。
観てないのでわかりませんが…。
私もできれば監督の他の作品を観たいです。
またもや凄い傑作に出会った ―― そう思います。
ホントにきつい映画ですが、絶対に観た方がいいですよ。
まだ観てない方は、気持ちを整えて、覚悟してから観てください。
今日も、おおきに、ありがとうさんでした
アンニョン(^.^/)))
第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門招待作品
『チェイサー』ソ・ヨンヒ×『愛の不時着』キム・ヨンミン
【INTRODUCTION】
第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門招待を含め、世界各国の映画祭で多数のノミネート及び受賞を記録した衝撃の話題作がついに日本に初上陸!
准看護師のヘリムが心臓移植が必要な全身麻痺の患者チョルオを看ているところに、正体不明の事故患者ミナが運ばれてくる。
チョルオの息子サンウに頼まれ、ヘリムはミナの家族を探し臓器提供同の承諾を取るべくミナの過去を追跡するうちに、ミナが「マドンナ」といいうニックネームで呼ばれ、衝撃的な過去を送っていた事実を知ることになる…。
ヘリムを演じるのは、ナ・ホンジン監督の大ヒット作「チェイサー」に出演したソ・ヨンヒ。
そのヘリムが対峙する冷徹な男を演じるのは「愛の不時着」や「チャンシルさんには福が多いね」で韓流作品のスターダムにのし上がったキム・ヨンミン。
そしてマドンナ役は、本作でのスクリーンデビューを飾るために体重を増やし、役作りをしたクォン・ソヒョン。その演技が認められ、見事に第35回韓国映画評論家協会賞で新人女優賞受賞を獲得した。
カンヌ・ベルリン映画祭で自身の作品が上映され、世界的にその実力が認められたシン・スウォン監督が描く“格差社会韓国における女性の生きづらさ“を目撃せよ!
【STORY】
准看護師のムン・ヘリム(ソ・ヨンヒ)は、病院への出勤初日を迎えた。
VIP病棟に配属された彼女の主な仕事は、全身麻痺の老人チョルオの世話をすることだった。
病院の主な出資者であるチョルオは、過去10年間に何度も臓器移植を受けて命をつないできた。
サンウ(キム・ヨンミン)は、父チョルオに代わって病院の運営を監督し、皇帝のような生活を送っている。
チョルオは病院の大口出資者である億万長者だが、遺言で全財産を慈善団体に寄付することを指示していたため、サンウは10年間、臓器移植を繰り返して父の延命に全力を尽くしてきた。
ある日、謎の交通事故で脳死状態となった妊娠中の若い女性、チャン・ミナが病院に運ばれてくる。
ヘリムはお金と引き換えに、サンウから“ミナの近親者を探し出して、彼女の心臓を提供するための臓器提供承諾書にサインしてもらう”という指示を受け入れる。
ヘリムはミナの過去を探り、ミナが「マドンナ」といいうニックネームで呼ばれ、衝撃的な過去を送っていた事実を知ることになる…。
原題:마돈나
イタリア語題:Madonna
2014年製作/120分/韓国
ワールド・プレミア上映:2015年5月20日
第68回 カンヌ国際映画祭(2015年)「ある視点」部門招待作品
韓国公開:2015年7月2日
監督・脚本:シン・スウォン [第3作]
脚色:チャン・ユンミ
PD:イム・チュングン(P.G.K)
助監督:チョン・ホイク
撮影:ユン・ジウン
照明:カン・ソンフン
編集:イ・ドヒョン
音楽:リュ・ジェア
美術:イ・シネ
武術:リュ・ヒョンサン
出演
ソ・ヨンヒ → ムン・ヘリム 看護補助者
クォン・ソヒョン → チャン・ミナ 事故患者 8号室
キム・ヨンミン → サンウ チョロの息子
ユ・スンチョル → チョロ 会長 全身麻痺患者 5号室
ピョン・ヨハン → イム・ヒョッキュ 医師
コ・ソヒ → コ・ヒョンジュ 看護師
キム・ホジョン → ポジュ(抱主:女郎屋のあるじ)
チン・ヨンウク → パク・チョンテ 送迎バスの運転手 レボム(reBom)化粧品
シン・ウンソプ → ハン科長
ハン・ソンヒ → ミヨン 売春婦
イ・ミョンヘン → パク課長 AK生命
イ・サンヒ → アラム AK生命
パク・ヒョニョン → チュニ レボム(reBom)化粧品
キム・ヒョンスク → ミナの祖母
ヤン・ジョンヒョン → 監査委員 AK生命
イ・ジヨン → チャルチ(ミニ・スカート) AK生命
チョン・エファ → 担任先生
キム・ギョンア → 英語先生
ノ・スサンナ → チェ先生 ミナの元同級生
キム・ジョンヨン → 高校生ミナ
パク・チヨン → 高校生チェ先生
イ・セロミ → 療養士 ミナの祖母担当
※ 輝国山人の韓国映画様から転載させていただいてます。