10月20日から公開中です
春夏秋冬そして春
解説 1996年のデビュー以来、人間の痛みと悲しみ、社会への憎悪を独特の映像美と残酷性で描いてきた韓国の異端作家、キム・ギドク。山奥の湖の湖面に佇む小さな寺を舞台に、ひとりの男の人生を5つのエピソードで語る美しく静謐なドラマ。山水画をほうふつとさせる韓国の名勝の国立公園をロケ地に選び、国民的民謡歌手キム・ヨンイムが歌うアリランが、映画を情感豊かに彩る。 (映画.com)
アンニョン(^-^)ノ
いつも、おおきに、ありがとうさんです…
先日、チョ・ジェヒョンさんとパク・チアさんが主演だったチョン・ギュファン監督の『ウエイト 呪われし存在の重さ』(2013年)を観たあと、無性にキム・ギドク監督の映画が観たくなり、後回しになっていた2003年の作品、『春夏秋冬そして春』を観ました…
キム・ギドク監督の最高傑作だとの声もある作品ですが、確かに没頭してしまう傑作でした。
観ている間は難解だとか思いませんでしたが、じゃあどんな映画か言葉で説明するのはなかなか困難な映画で…森の中の池に浮かぶお寺さんを舞台にした数十年の物語ですね…。
老僧とお寺さんで暮らす幼児が少年となり、青年となり…やがて中年となり…って話です。
私の第一印象としては手塚治虫先生の漫画『火の鳥』(1954~1988年)ですね。
『火の鳥』の特に「鳳凰編」を私は思い出してました。
あの東大寺さんの大仏建立のお話ですね…。
それからアレハンドロ・ホドロフスキーの『エル・トポ』(1970年)も…。
『春夏秋冬そして春』はお寺さんが舞台であり、主人公はお坊さんですのでね…やっぱり仏教の教えにまつわる映画だと思います。
私も仏教徒なんだけれど…お恥ずかしながら深い信仰も知識もないので、それについてはたとえ映画の感想だとしてもどうこう書けないのですが…つまるところ、正直に明かせば私はこの映画を「上辺だけ観た」と白状しなければならないのかもしれません。
ですが絵ですよね。
それと音楽…もちろんキャストの演技。
もうそれで観ている価値があると思うので…私はあの池の上のお寺さんでのセリフの少ない物語、それだけで映画に集中できたんですね。
そこはさすがキム・ギドクです。
ストーリーは…また私がなぞって書いても楽しんですが、でもね、この映画はストーリーだけ知ってもあまり意味がないように私には思えるので…下に輝国山人の韓国映画様のこの映画のページのあらすじを転載させていただいてます。
でも、それを読むのならもう、映画を観た方がいいと思いますね。
ご注意としてはお子さまには向いてない映画ですね。
観てもいいけど…若干、性的な場面があるのでご家族で観られてると気まずいと思いますね。
この映画のそういう場面ですがキム・ギドクの色合いといいますか、セクシャルな場面もそこはかとなくハッとさせられるものがあると思いました。
私だけかもしれないけど。
私は気まずく感じましたね。
また映画として残酷に感じるものもありますね。
それは映画にとって不必要なものではないのだけれど、人によっては不快に感じる…のかなあ。
ただ、多くの映画ファンの方々にとって『春夏秋冬そして春』はまぎれもない傑作だと思いますよ。
キャストは…主人公の少年時代がソ・ジェギョンさんで…この方のどこか「垢抜けなさ」みたいなのが役柄に合ってましたね。
なんだろう、ピュアというか少年らしさがね。
少年時代、出会った女の子がいっぺんに好きになりましてな…もう彼女のことしか考えられない…。
え、え、え…修行は~っていう。
30代はなんと、キム・ヨンミンさんですな~。
私はこの「秋」のエピソードが最も刺さりましたな。
刑事の役でチ・デハンさんも出てきはるし…。
和尚様がね…なんと猫のしっぽに墨をひたして般若心経を書かはります。
そして「冬」のエピソード…おじさんになった主人公ですが、なんと監督本人ですな~
私は監督が出てきはった時、笑ってしまいました(>_<)
でも本人が出演までして描く「冬」のエピソードは、またかなり力が入ってるんですよね。
そして顔を布で覆った女性が出てくるんですが、あとで調べたらその女性はパク・チアさんが演じてはったんですよね…。
キャストは皆さん素晴らしいのですが、私はやっぱり老僧を演じられたオ・ヨンスさんですね。
キム・ジュヒョクさん主演のドラマ『武神』(2012年)のスギ (守其)大師様ですよ。
優しく厳しい和尚様ってムードで感動でした。
オ・ヨンスさんは超人気ドラマのNetflix『イカゲーム』(2021年)に「カンブおじいさん」=オ・イルナム役で出演、第79回ゴールデングローブ賞では韓国俳優として初になる助演男優賞を受賞した…までは良かったんですが強制わいせつの容疑が報道され…ケチがつきました。
2017年に女性Aさんに対し不適切な身体接触をした容疑ですが…真相を裁判で争っている…のかな。
もしもセクハラが事実なら…残念ですが、断定するような報道もないようですね…(´・_・`)
ともかく、やっぱり猫のしっぽ筆が印象的やなあ…。
この映画は猫ちゃん以外にも様々な生き物が出てきますな…。
ちなみに、ナムウィキさんのこの映画のページに面白いことが書いてありましてな…この映画、「韓国ではすぐに忘れられたが、米国ではインディペンデント映画として上映館も少なく、宣伝もなく公開したにもかかわらず、238万ドルという相当な収益を上げた」そうで「これは米国公開韓国映画最高興行記録だった」とのこと。
当時、アメリカではヒットしたんや、キム・ギドクの映画…意外でした。
でも、東洋的な、仏教的なこういう映画だからこそ、アメリカでも人気を博したんでしょうね。
アメリカにはないもんやから。
で、「歴代北米公開大韓民国映画収入 TOP10」ですが ――
1位 パラサイト 半地下の家族(2019年) $53,369,749
2位 D-WARS ディー・ウォーズ(2007年) $10,997,721
3位 BRING THE SOUL: THE MOVIE (2019年) $4,809,800
4位 スノーピアサー(2013年) $4,563,650
5位 Burn the Stage: the Movie(2018年) $4,201,819
6位 BTS WORLD TOUR 'LOVE YOURSELF' SEOUL(2019年) $3,509,917
7位 バトル・オーシャン 海上決戦(2014年) $2,589,811
8位 春夏秋冬そして春 $2,380,788
9位 国際市場で逢いましょう(2014年) $2,300,121
10位 グエムル 漢江の怪物(2006年) $2,201,923
―― ってことで、まずぶっちぎりの1位『パラサイト』はわかりますけど、2位は怪獣映画なんですね~。
ポン・ジュノは1位、4位、10位…さすがです。
意外だったのは7位の『バトル・オーシャン 海上決戦』ですが、愛国的な韓国映画だけど、同時にエネルギッシュな海上決戦映画ですものね…。
てか、3位、5位、6位
単にBTSがアメリカでも強いってことじゃねーか(;´∀`)
いや、そんなんもわかって面白いですけどね。
韓国映画にはいわゆる「反米」的な作品も多いけど…そのあたりアメリカではどう見られてるのか…と思うけど、ま~、気にしてないんでしょうね~、そういう映画は観もしないか。
キム・ギドク監督…2020年12月にラトビアで死んでしまはったので、なんぼ待ってても、もう新作は観られません。
鰐 ワニ 1996年 ★
ワイルド・アニマル 1997年 ★
悪い女 青い門 1998年 ★
魚と寝る女 2000年 ★
リアル・フィクション 2000年 [総監督] ★
受取人不明 2001年 ★
悪い男 2001年 ★
コースト・ガード 2002年 ★
春夏秋冬そして春 2003年
サマリア 2004年 ★
うつせみ 2004年 ★
弓 2005年 ★
絶対の愛 2006年
ブレス 2007年 ★
悲夢 2008年
アリラン 2011年
アーメン(Amen) 2011年
嘆きのピエタ 2012年 ★
メビウス 2013年
殺されたミンジュ 2014年
ストップ 2015年
The NET 網に囚われた男 2016年 ★
人間の時間 2018年
★=私が観ていた作品です。
初めて観たのは『サマリア』でしたが、ショックでしたね。
よく理解はできなかったけど、何か心に響く作品です。
『鰐』、『ワイルド・アニマル』、『青い門』、『魚と寝る女』、『受取人不明』、『うつせみ』、『弓』、『嘆きのピエタ』…なんだこりゃって困る映画もありましたが、とにかく記憶に残るインパクトのある作品ばかり…観てから時間が経つのに時々、フッと思い出して考えさせられたりしてます。
『悪い男』はですね…観たんですが、ひどいことを感想で書きそうだったので、一旦、書くのを保留してます。
またもう一回観て、書きますよ…いつか。
とにかく泣いても笑ろうても、あと残り…まだ観ていない限られたキム・ギドク作品をこれから丁寧に観ていきますかね。
池の上のお寺さんですが、慶尚北道(キョンサンポッド)の周王山国立公園にある池で撮影したセットらしいんですよね。
いや、私も、このお寺さん、ホンマに池に浮かんで凄いと思ってたんですが、それにしては映画の中で床をナイフで彫ったりしてるので、ええんかいとか思ってて…やはりセットなんですよね。
でも、キム・ギドクの映画なのにお金をかけましたね…
池、湖ってことで『魚と寝る女』も重なるし、キム・ギドクの映画って確かに「水」のイメージもありますね…。
キム・ギドク自身、晩年は性的暴行のスキャンダルもあり、私たちが知っていた芸術に没頭する映画監督であること以外のことも知ることになりました。
韓国映画のファンとして、監督の亡くなったあとも監督の映画に触れるたび、それについて考えてしまうのも事実です。
亡くなった方を非難しても仕方がないのですが、知りたくなかった一面も知り複雑な思いです。
それでも私はキム・ギドクの映画を観ますけれども。
『春夏秋冬そして春』…映画作品としては間違いなく傑作です。
観ずにいるのはもったいないでしょうね。
まだ観てない方は是非。
今日もおおきに、ありがとうさんです、アンニョン(^.^/)))
春夏秋冬そして春
無邪気な童子僧が少年期、青年期、中年期を経て、壮年期に達する波乱が多い人生史が神秘な湖上の庵の美しい四季の上に描かれる。
春...
業:いたずら好きの子供、殺生の業を始める。
万物が生成する春。森で捕まえた魚と蛙と蛇に石をぶら下げて困らせる意地悪ないたずらをして、天真爛漫な笑いを放つ子供。その姿を見守った老僧は、寝ついた子供の背中に石を縛っておく。眠りから覚めた子供が涙声で痛いと訴える。老僧は、過ちを戻せなければ、一生の業になることを悟らせる。
夏...
欲望:愛に目を開いた少年、執着を知るようになる。
子供が育って17歳の少年になった時、山寺に同い年の少女が療養しに入ってくる。少年の心に少女に向かう熱い愛がみなぎって、老僧も彼らの愛を感知する。少女がいなくなった後に一層深まる愛の執着を振り切れない少年は、山寺を離れる。
秋...
怒り:殺意を抱いた男、苦痛に陥る。
寺を離れた後、裏切った妻を殺して殺人犯になり、10余年ぶりに山寺に逃げてきた男。紅葉のように赤く燃え上がる怒りと苦痛に勝てなくて、仏像の前で自殺を試みた彼を殴りつける老僧。男は、老僧が木の床に書いてくれた般若心経を彫って心を静める。男が去った静かな山寺では、老僧が自らを荼毘に付す。
冬...
空っぽなこと(公):無意味さを感じる中年、内面の平和を求める。
中年の年齢で廃虚になった山寺へ戻った男。老僧の袈裟を集め,氷の仏像を作り、冬の山寺で心身を修練して内面の平和を求める毎日を送る。寺を訪れた名前の分からない女が幼い子供を残して去る。
そして春...
新しい人生の四季が始まる。老人になった男は、いつのまにか育った童子僧と共に山寺の平和な春の日を送っている。童子僧は,あの春の子供のように魚と蛙と蛇の口の中に石ころを入れるいたずらをして明るい笑いを放っている。
春夏秋冬そして春
原題:봄 여름 가을 겨울 그리고 봄 春夏秋冬そして春
英語題:Spring,Summer,Fall,Winter,and Spring
中国語題:春夏秋冬又一春
2003年製作/102分/韓国
韓国封切:2003年9月19日
日本公開:2004年10月30日
配給:エスピーオー
監督・脚本・編集:キム・ギドク(金基徳) [第9作]
助監督:チャン・チョルス
撮影:ペク・トンヒョン
音楽:チ・パク
出演
オ・ヨンス → 老僧
キム・ギドク → 壮年僧
キム・ヨンミン → 青年僧
ソ・ジェギョン → 少年僧
ハ・ヨジン → 少女
キム・ジョンホ → 童子僧
キム・ジョンヨン → 少女の母
チ・デハン → チ刑事
チェ・ミン → チェ刑事
パク・チア → 赤ん坊の母役
ソン・ミニョン → 赤ん坊役
10月16日 春夏秋冬そして春 マーダー・ミー・モンスター(2018年)
10月17日 裸の銃を持つ男(1988年)
10月18日 トム・ヤン・クン!(2005年)
10月19日 HACHI 約束の犬(2009年)